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Romance夢紀行

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Shadow's Claim クレスリー・コール あらすじ


※ ※ ※ ネタバレあります ※ ※ ※ 
辞書で確認せず、記憶に頼っててきとーに書きなぐっていますので、内容が間違っていても笑って読み流せる方だけ読んでくださいね

1~7章 ベティーナはヴレクナーたちにいたぶられていました。彼らに魔術師としての能力を奪われた後、獲物をもてあそぶように、何度も蹴りつけられ、蹴り上げられ、ベティーナはもうたっていられなくなり死を覚悟しますが、デーモンの血により違う場所へ召喚されました。

頭の上からは、自分の名づけ親であり、デーモン王国アバッドンの宰相ラウムの声と、愛する戦士キャスピオンの声が聞こえてきました。彼女を心配したラウムによって、メダリオンで召喚されたのです。彼女が立てないほどの大怪我を追っているとわかると大騒ぎになります。彼女は女魔術師の王妃とデーモンの王の間に生まれた姫でした。

ベティーナは不死ではあるものの、大怪我はゆっくりとしか回復せず、その間に保護者たちは彼女の身を心配して保護者兼伴侶をトーナメントの優勝者と定め、布告を出します。

ベティーナはデーモンらしいしっかりとした体形ではなく、角もなく、むしろ魔術師らしい華奢な体形で、ヴレクナーに奪われてしまった魔術師としての魔力も攻撃的なものではありません。彼女はファッションや武器の製造を好んでいて、自分を魔術師らしく自製の黄金のフェイスマスクや飾りで着飾り、なんとか明日の夜から始まるトーナメントの優勝者との結婚を避けようと、昔から憧れている死のデーモン キャスを誘惑しようと決めます。おそらくトーナメントの参加者はアバッドンの王位が欲しいために参加するものが多いはずで、自分にとってよい人物が残るとは思えないのです。

キャスはベティーナの部屋までは来てくれるものの、着飾った彼女が私を伴侶かどうか試してほしいと頼んでも、もしも君と関係を持ったら伴侶かどうかは関係なく結婚しなくてはならなくなる。そうしたらお互い不幸になるだけだと取り合わず、気もそぞろで、俺はもうおしまいだ、暗殺者に狙われたからには今夜までの命だと言い出し、トレースしてどこかへ行ってしまいます。

宰相からおもり役としてつけられているファントムのようなサレムに、キャスを見守って欲しいとなんとか頼み込んで行ってもらいますが、彼に処女を奪ってもらってトーナメントの開催を取りやめさせる計画はまったく上手くいかなかったということに気づいて愕然とします。彼の気持ちが変わって戻ってきてほしいという気持ちを込めて窓にランタンをかけます。

トレハン・ダシアーノは、ダシアから無断で出国した人物はすべて暗殺し、王国の存在と場所の位置を謎のままに保つという暗殺者のリーダーとしての仕事をこなし、淡々と日々を過ごしていました。今回も秘宝を使ってキャスピオンを追跡し、彼が女郎屋にいるのを見つけましたが、衆目のある場所で暗殺するのは好ましくないため、近くの宿で動向をうかがっていました。すると窓から王宮とみられる建物の一室にランタンがひとつ輝いているのが見えます。任務に集中しろ、と自分に言い聞かせるものの、なぜか視線が誘われます。

トレハンは、いとこから生きていて楽しいか、とからかわれるほどですが、愛する王国を守ることに満足し、面白味のないようにみえる生活でも満足しているはずでした。気が付けば窓の外にトレースしていて、ガードの魔法をあっさり破り、暗い部屋のなかを見ていきます。ファッションや武器などの本が栞などが挟まれた状態でぎっしり並んでいる本棚があり、壁には才能を感じる武器の製造過程のスケッチが飾られていて、自分の部屋にある秘密のコレクションにこのスケッチは加えたいくらいだと思います。奥から気配がして、そちらに向かうと華奢な女性が魔術師のような恰好をしたまま、ベッドに倒れ込むようにして眠っていました。

彼はダシアへの出入国を許されていましたが、姿を見られたら、その人物は殺すというのが昔からのルールです。動き回る間も、霧をまとって見られないようにしていましたが、なぜか気が緩んで霧が消えているとベッドの女性が目が覚めてしまいます。

あなたのことを待っていたの、と手を伸ばされ首に手をかけられるとドーン、ドーン、ドーンと音がして地震のように足元が揺らいだ気がします。でもトレハンは何が起こったのかわかっていました。彼女が花嫁だ。服装からして魔術師だろうから、予知能力で自分のことを知っていたに違いないと思います。話しかけようとすると、シー、黙って、と言われ、積極的な彼女の気をそぐようなことをするのは賢明ではないと思い、黙っていることにします。

花嫁がヴァンパイアではない場合、彼女が伴侶だと自動的には認識しないため、困難なことがあると話しに聞いていたが、自分の場合は全く問題ないようだと思い、あなたの好きなようにしてほしいと言われて、衣服をはだけられた胸を愛撫します。幸せを感じ、伴侶に印をつけたい、噛みたい衝動が襲ってきますが、ダシアでは他人を噛むのは無作法だとみなされていて、必死でこらえます。また自分の存在を知っても伴侶だけは例外として殺さなくてよいのでほっとします。

数百年ぶりに血が通い、やり方も忘れてしまったくらいで、ベティーナに愛撫されて、とっさに服を破って身体を奪って数秒で終わるよりは、まずは出してしまおうと思い吐精しますが、ベティーナは驚きます。酔っぱらっていて、部屋が真っ暗な中、もしかしたら相手は気が変わって戻ってきたキャスではないかもしれないと初めて気づき、パニックになります。

トレハンは、部屋に灯りをつけ、私の花嫁、お前の名前は? と聞き、自分はトレハン・ダシアーノ王子だと名乗ります。彼女が自分のことをキャスだと思って処女の身を捧げてきたと知り、激怒します。ベティーナは22歳と若く、酷く痛めつけられた過去から、酷く怯え、噛まないで、と涙を浮かべますが、俺はお前を傷つけない、とトレハンはいい、嫉妬に逆上して、印をつけたいという強い衝動をなんとか抑えつけます。

彼女がアバッドンの姫で、トーナメントの景品になっていると知り、トレハンはとにかく彼女を連れてダシアに戻ろうとしますが、彼女にはもう一人の名付け親である魔術師の女王モルガナがトーナメントが終わるまではこの国を離れられないという強い魔法をかけられていて、トレースに失敗します。なぜトレースできないのか理由を話せ!とトレハンがいうと、ベティーナは無視しますが、彼がキャスピオンを暗殺しにきた人物だとすると、彼を殺さないで、そのためになら私はあなたにこの身を捧げてもいいと言います。

激怒したトレハンは、誰かのために身を捧げると言われるほど興がそがれるものはない、お前には二度と会わないが、キャスピオンにはまた会いにいくといっていなくなります。

ベティーナは急いでサレムを読んで、キャスを呼んできてもらい、トレハンが現れたことを伝えます。どうにか生き延びる策を練らないとというと、なんで彼を見たのに生きているんだと言われ、彼の花嫁だと言われたと言って、驚かれます。君たちを引き合わせてしまったのは俺のせいだ。ベティーナは彼にトーナメントに参加すればリング外で殺すのはご法度のため、暗殺されるのは防げると言いますが、もしも勝ち抜いた場合は結婚しなければならず、自分の未来の花嫁もみんな不幸になるといって参加は断ります。ベティーナはモルガナに助けを求めることも考えましたが、ダシアの秘密を知ったものはみんな殺されるから、トレハンのことは黙っているようにとキャスに諭されます。

8~ 18章 ダシアの自宅に帰宅したトレハンは、蔵書のなかから魔術師についての一般的な知識やベティーナの名づけ親たちのこと、アバッドンの国王夫妻だったベティーナの両親のこと、デーモン王国やアバッドンについてわかることを調べます。ベティーナは22歳!魔術師だった母は彼女を出産後しばらくして死亡、デーモンの父は辺境のいざこざに出征して、前線で死亡。名付け親のひとりはデーモンでアバッドンの宰相ラウム、もう一人の名付け親は、母親の親友で魔術師の女王モルガナ。魔術師同士はお互いに魔力を奪い合うらしいが、ベティーナの力とはどんなものなんだ?

いとこのひとりが顔を見に来て、戯れに手合わせしますが、トレハンに血が通ったことに気づき、花嫁はどこだと言い出します。トレハンは親族同士が殺し合う前の子供のころは友人だった男に、彼女はデーモン王国のトーナメントの賞品になっていて、優勝者は王位と彼女を得られると話します。誰よりもダシアーノらしく、ダシアンらしさを維持するため秘密を維持する任務を背負い、国を愛する彼は、花嫁のために900年尽くしてきた国を棄てるかどうか悩みます。そしてデーモンに心を捧げている彼女の心をどうやったら手に入れることができるだろう。そうだ、ロテールは伝説的な貸しの台帳を持っていたが、あのやり方は通じるだろうか。

気持ちが定まらないまま、自分自身の旗印と家宝、父から譲られた剣など少ない手荷物をまとめていると、若い姪のコズミナがやってきます。女性のバンパイアに感染する病気を避けるためと国外は危険だということもあり国から出してもらえないコズミナは、新しい世界にいく叔父様が羨ましい、と言いつつ見送ってくれます。

ベティーナが部屋にいると、キャスが現れ、やはりトーナメントに参加することにしたと言ってきます。
モルガナによってベティーナは盛装させられ、トーナメントが終わったら彼女に能力を返してあげるとモルガナが言ってくれ、ラウムとモルガナと共に会場へ向かいます。

参加者がエントリーし、会場に集まった様子を眺めると、デーモンの他にも目の赤いバンパイアや他の種族もいて、ベティーナは内心すくみ上ります。モルガナは、お前にも運命を一押しするチャンスをある段階で与えると言われますが、詳しいことは教えてもらえません。ラウムはベティーナがキャスを大事に思っていることに気づいているようで、彼が参加して勝ち取るのではと思っているようですが、モルガナはそのことについては別の意見を持っているようです。最後の最後に参加してきたバンパイアに強い興味を見せていました。トレハンはベティーナのところにトレースで現れると上着を預け、会場に向かいます。

トレハンはベティーナに取引を持ち掛けます。殺してほしい人物に対して貸しひとつ。キャスを殺さないで欲しいという頼みには、願いを受け入れるかわりに貸し3つだと言い、ベティーナは交渉の末受け入れます。ベティーナは自分ではなく王位を狙っている粗野で野卑な人物、暴力的な人物に対しては怯えを感じていて、一人を名指しします。

初日のトーナメントは参加者が300名ほど。ゴングが鳴ると金網で囲われたリングのなかに参加者たちが入り、デスマッチが始まります。たちまち血が飛び散り叫び声が上がりますが、ベティーナがトレハンを見ていると彼の緑色の眼差しは色が変わることがなく、冷静でした。ターゲットの人物を屠ります。キャスが追いつめられているのを見て取ると、ベティーナのほうへ視線を向け手で5の仕草をします。ベティーナが頷くと間に割って入り、キャスは混乱の面持ちでしたが、トレハンはたちまち敵を倒します。ゴングが鳴ると、その瞬間目の赤いバンパイアのそばにトレースし、音が消える前に首を切り落とします。

ベティーナのそばにいたモルガナに手紙で何か知らせがもたらされました。「ドラータが!?」と口にしますがベティーナには事情はわかりません。用事ができたからトーナメントの運営はつつがなくお願いね、とラウムに言い置き、その場からいなくなってしまいます。

檻から出てきたキャスはグルーピーたちに囲まれちやほやされていますが、トレハンはベティーナのところへトレースしてきます。夜に自分のテントに来てほしい、目印にテント前に自分の旗印を掲げておくと言い、ベティーナはしぶるものの、了承します。

すぐにトレハンは姿を消してしまい、ラウムは違う人物たちと話していて襲撃されてからひとりで歩くことに強い恐怖心を抱くようになったベティーナはしばらくじっとしていますが、自室までなら安全なはずと自分に言い聞かせながら動こうとします。ベティーナの恐怖心を知るキャスが付き添うよ、と言ってやってます。自分なら君と王国を統治できるはずだ、できるだけ君と上手くいくよう努力するというような話をしながら館の入口まで送ってくれました。

サレムは、君に危害を加える可能性のないバンパイアから君を守るより、今夜はトーナメント参加者のなかで強力な人物の弱点を探ってくるといって出かけてしまいます。ベティーナは監視がなくなったことにはほっとしつつ、賭けに要求されることが何なのか思いめぐらします。館を出ると、襲撃されるかもしれないという恐怖心で足をすくませ、そばを通るデーモンの声に怯えながら、テントに向かいます。

トレハンは橋の下に隠した自分の荷物を回収すると、殺したホルドのバンパイアのテントに向かいます。ホルドは昔から金回りがよく、贅沢なしつらえで、側仕えもいました。テントに幟を掲げ、荷物を置くと、霧で姿を隠してベティーナのところへ向かいます。

館の入口のすぐそばに立つベティーナが、尋常でなく怯えている様子をみてとり、彼に会うことがそんなに怖いのか、それとも別に怯える理由があるのかとトレハンは不思議に思い、事情が知りたいと強く思います。花嫁の彼女のことは、自分自身と同じように霧で姿を覆うことができるので、霧で覆い、影から自分のテントに向かう彼女を見守ります。

ベティーナがテントに入るとトレハンは姿を現し、この機会に知りたいと思っていたことを聞きだそうとします。ベティーナの魔術師としての能力は、心臓への影響力にあるようで、心の女王だったそうです。ヴレクナーによって刈り取られてしまいました。ベティーナの印象では、嬲られた際に父を殺され、兄は不具にされたと口にしていたため、ヴレクナーは恨みからの犯行を行ったのではないかと思っているようです。トレハンはそいつらが誰なのか、どこにいるのか教えてくれたらすぐに復讐してやると誓いますが、知り合ってまだ24時間もたっていない人からそんなことを言われても戸惑いを隠せません。

弱さが自分の恥だと感じて、ベティーナは口が重く、帰ろうとします。トレハンはそれなら君のやり方に合わせるからと、手を掴んで引き止めます。ベティーナが身に着けている武器になる装飾品をトレハンが褒めて、姪のコズミナにプレゼントしたら喜ぶだろう。作ってもらえるだろうかと頼みます。ベティーナは花嫁が仕事を持つなんて嫌がるかと思ったと言うと、君を俺たちのベッドに引き止められない時間には君がやりたいと思う好きなことをやってくれてもかまわない。それに俺は武器の達人だ、武器職人には敬意を持っていると話し、彼のコレクションのなかに君にみせたいものがあると話します。トレハンがもう国には戻れないと気が付いて暗い顔になると、ベティーナは慰めたい気持ちになり、絵に描いてくれてもいいわと頼みます。言われるままに書き始めたトレハンの手元をベティーナはのぞきこみます。そばにいるベティーナに手を出したい気持ちを必死に抑えていました。どちらかというと自分の魅力に気付かずやっている様子だったものの、自分が彼にもたらす影響力に気づきはじめているようだとトレハンは思います。

キャスを助けた貸しに、テント内に用意された風呂で背中を流してほしいとトレハンは命じます。もちろん洗われるのは二人の内どちらでも構わない。

ベティーナは最初、バスタブに沈んで背を向けたトレハンの背中に機械的に手を動かしていますが、工芸品を生み出す職人の目は観察力が鋭く、触感からも視覚からも沢山の刺激を受けてしまいます。次第に手が前のほうへ滑っていきます。トレハンは必死にバスタブを掴み、彼女を水に引きずり込んじゃだめだ、計画を思い出せ、彼女の好きにさせるんだ、と自分に何度も言い聞かせます。

19~29章 ベティーナが自分に惹かれているのにトレハンは気づき、怖がらせないようにゆっくりと誘惑するという自分の計画は正しいとなんとか希望をつないでいます。お互いに愛撫しあい、夜明け前まで狂おしい時間を過ごします。激しくキスしあっていて、うっかりトレハンは伸びている牙でベティーナの口の中を切って血を奪ってしまいました。ベティーナは自分が情けなかった過去が知られてしまうと恥の意識から激怒します。

トレハンがテントで血の汚れを落としていると、いとこ3人がやってきました。暗殺しに来たのかと緊張しますが、彼らはロテールが本来は正統の後継者であるから、彼に王位を継がせたいというのです。今まで彼は寝ている間に裸でトレースし制御できない様子で、狂っていて正常な判断が下せない様子だったが、ここにきて貧しい人間の花嫁を見つけ、正気を保てるようになってきたようだ。彼女をなんとかヴァンパイアにしようと世界中をトレースしていて、もしも成功するようなら、統治も可能かもしれないと言います。彼ら自身がそれぞれ一族の長で、出入国の担当、城の管理、軍備とそれぞれ担当が分かれていて、そもそも統治をしていたのがロテールの出身の家で、彼の母が唯一の後継者でした。トレハン自身はダシアを愛しているものの、戻れない立場であり、すでにベティーナのいるところが自分のいるところだと決めていたのでダシアの王位をロテールが継ぐことには異論はありませんでした。ただ、頭に思い浮かべるだけで、その場所にトレースできる秘宝を持っているのはトレハンだけです。トレハンは、トーナメントで自分に何かあったとしても永遠にベティーナを見守り続けることを3人に約束させ、ロテールの様子を他の3人と監視することを了承します。

参加者が300名から30名ほど減った第2戦では、1対1の戦いで得物はひとつ持っていいことになっています。ベティーナは参加者のなかにライキーがいることに目を留めました。このライキーにはハンドラーがついているようで、虐待を受けているのを見て取ります。自分の中の獣に支配されて心を壊されてしまっているようです。トレハンはあれからベティーナに会いにきていません。

キャスとトレハンは順調に対戦者を破って勝ち上がり、ベティーナはライキーとキャス、トレハン、そして原始のデーモン ガルロフの様子に気を配っていました。原始のデーモンの戦いの様子はすさまじく、弱点が見当たらないようで、キャスとトレハンはいがみ合いつつも、この男だけはベティーナには近づけてはならないと共通認識を持ちます。

前段階で競技者は6名までに絞られました。モルガナの発案で次の競技はベティーナの喜ぶプレゼントを10分で用意することと発表されます。彼女が喜ぶものを用意できたものが準決勝以上に進出すると宣言します。候補者たちが並ぶと、モルガナの魔法で彼らは跪かされ、それぞれの頭の上には魔法の刀が現れます。

持ってこられたプレゼントが、贈り人を伏せられたまま公表されます。まずは人気のライブのチケット。ベティーナにはすぐにキャスが用意したものとわかります。美しい宝石、フェニックス、沢山の黄金、モルガナは賞賛の声をあげます。そしてズタ袋が持ってこられると周囲がざわめきます。中から出てきたのはヴレクナーの首4つでした。

ベティーナは衝撃を受けますが、モルガナは彼女が本当に望んでいたものだとコメントします。ベティーナはトレハンが彼女の記憶を夢で得て、殺してくれたのだと悟ります。自分の情けない部分を知られてしまった恥とショック、嫌われてしまうのではないかという恐れで気持ちが乱れます。

モルガナはベティーナに準決勝に進出できない者のプレゼントを選ばせます。フェニックスを選ぶと、モルガナが手を一振りし刀が動いてデーモンの首が転がります。次に美しい宝石を選ぶと事情が理解できておらずパニックになっていたライキーが一声「兄上!」と叫んだ次の瞬間には頭は身体から切り離されていました。1位には誰を選ぶと聞かれて、ベティーナは内心葛藤しますが、チケットを選び、キャスは決勝進出、トレハンとガルロフが準決勝で対戦し、勝者が決勝へ進出すると発表されます。2位の褒美は1時間ベティーナと散歩できるというものでした。


29~ 37章 ベティーナをキャスが部屋へ送ってくれますが、トレハンがキスをしたときにうっかり血を奪ってしまったと知って、いったいどうしてそんなことに、自分は君との結婚の可能性を考えて禁欲していたのにと責めます。ベティーナは今まで喧嘩ひとつしたことのないキャスとトラブルになって悲しみますが、一方で彼の事はトレハンに惹かれるように惹かれたことはなく、もしかして友達として大事なのだろうかと思い始めます。

名付け親たちやキャスとのいざこざ、トーナメントで自分の決断で参加者が死んだことを忘れるため、ベティーナは仕事に没頭します。そこにトレハンがやってきました。話したいことがいっぱいあるの、と言いかけますが、キスをされてたちまち夢中になってしまいます。噛まないで欲しいと頼み、出かけようと言いますが、仕事が佳境のようだから、出かけるよりむしろ君の仕事を見ていたいとトレハンが言って、仕事を仕上げてしまうことにします。作業に魅了されるトレハン。彼は夢でベティーナの視点で記憶を体験して、彼女が賢く、芸術家の眼差しで世界を深く見ていることがわかり、感動していました。完成品をみて感嘆の声を上げます。ベティーナも自分の仕事に満足していました。君にプレゼントしたいものがあると言われて、ベティーナは尻込みしますが、トレハンは彼女をなだめてトレースで連れ出します。

そこは彼女がヴレクナーに攫われてしまったときにいたところで、彼女のお気に入りのアバッドンの風光明媚な場所でした。あらかじめピクニックの用意がされていてベティーナも喜びますが、ふと過去を思い出して足がすくんでしまいます。トレハンは、もしもヴレクナーが現れたら、自分が守る。いまあいつらが30人くらい現れたらどうなると思う? ベティーナは恐怖に襲われますが、自分があの4人にしたのと同じことをして、君が拷問したい奴だけ残してやる。俺の花嫁で、未来の女王の君に手を出した報いを絶対に受けさせる、あいつらに理解させるんだ。君の痛みを経験したから、どれだけ酷い思いをしたかわかっている。数百年生きている自分も体験したことないくらいだ。だが怖がっていたら、怪我以上のものを彼らに奪われてしまっていることになると説得し、一歩、一歩ベティーナは歩き出し、初めて彼女からトレハンにキスをしました。ベティーナのうばわれた魔力は、どこかに集めれているようですが、トレハンが4名を拷問してもわからず、知っているのはヴレクナーのリーダーだけということだったようです。

明日の夜、彼が死んでしまうのではないかとベティーナは不安にかられていますが、出来ることは何もなく、いまはこの二人きりの時間を大切にしようと言われて、たくさん話をして、もしもトレハンが負けてしまったときにガルロフにベティーナを酷い目に合わせる理由を作らないために、最後の一線を越えない範囲で愛し合います。

ここまでの競技では圧倒的強さをみせている原始のデーモン ガルロフとの対戦でトレハンは秘策を秘めていました。どんな攻撃もはねつける彼を倒すには、弱点への死の一撃のみ。ヴレクナーを倒したときに得たものを前日にホノリウスに加工を頼んで隠し持っていました。ガルロフに何度も何度も攻撃され、血を流してもひたすら刃を交わし、弱点を探ります。デーモンの角に身体を貫かれ、持ち上げられたとき普段は角が巻き付かれて隠されている彼の角の根元に弱点が見えました。壁にたたきつけられ、武器を探ると身体から隠し持っていたものが消えてしまいます。かすむ目で周囲を見回すとありました。トレースして武器を手にすると実体化させます。現存するものは4つしかないというヴレクナーの大鎌でした。刃を一閃、二閃してデーモンの角を落とし、首を落とし、血みどろで勝利しました。

37~43章 ベティーナは自室で大喜びで大騒ぎするモルガナに飾り立てられ、トレハンを待っています。トレースしてきたトレハンに、無造作に二人きりにしてくれとモルガナが言われて、あなたはまだ王配になったわけではない、私が邪魔をしようと思えば・・・と怒りだします。ベティーナを渡してほしければヴレクナーの大鎌を渡しなさい!と命令すると、トレハンはあっさり差し出します。大喜びでその場からいなくなるモルガナ。

明日の決勝戦ではキャスとトレハンが戦い、どちらかが死ぬとわかっていて、なんとかできないかとベティーナは悩んでいて、単純には喜べません。トレハンと話そうとしますが、キャスと俺が生き残れる抜け道を契約書に見つけた。俺の飢えは限界だ、俺を信じて今は愛し合わせてくれないかと頼むと、ベティーナはあなたを信頼する。ローアに誓える?と聞くとトレハンは誓ってくれ、ベティーナは喜んで彼に身を任せます。ただ、噛まれることにはまだ恐怖心があるから、今日はあなたの花嫁になるだけでいい?と頼み、トレハンは狂おしい飢えを感じながら彼女の意思を尊重してくれ、二人は結ばれます。

幸せの絶頂のふたりでしたが、ベティーナはトレハンがどうキャスを助けてくれるつもりなのか教えて欲しいというと、古代デーモン語で書かれた契約書の該当箇所を示して、もしも剣を突き付けられた状態でベティーナが「彼に慈悲を」と頼めば、競技参加者として不適格者ということで生きて競技会を終われるというのです。ベティーナは、孤児として自分の地位を苦労して確立してきたキャスが、国民の前でメンツを失うようなことをするわけがない、逆上して何をするかわからない、他のやり方はないの!?とパニックになります。この数週間、競技会に参加しながらダシアのためにロテールを追いかけ世界中をトレースし、ベティーナの血を飲んでしまってからは他の血はまずくて喉を通らず、前夜はガルロフと戦って大量に出血し、ベティーナと愛を交わし、数週間ほぼ睡眠もとっていない状態の彼は精神的にも肉体的
にも限界でした。そしてベティーナは知らないことでしたが前夜、トレハンのところにいとこたちがやってきてロテールが王に即位したことを知りました。もう彼に戻るところはないのです。君はいつか俺の限界を越えさせる、とトレハンは警告します。

ベティーナが部屋に戻ると大鎌を持ったモルガナが上機嫌でやってきて、彼女にヴレクナーに奪われた心の女王の魔力を返してくれました。ベティーナはキャスに会いにいくものの、慈悲によって降参するなんて御免だと言い捨て、相手にしてくれずベティーナはパニックになります。

リングにあがった二人をベティーナはリングの外から見守っていますが、トレハンは顔色が悪く表情はこわばり、汗をかき、明らかにおかしい様子です。毒を盛られたのではとベティーナは気づきますが、とめようと思ったときにはラウムが開戦のホルンを吹かせていました。キャスが激しく責め立て、トレハンは防戦一方です。追いつめられたトレハンにベティーナは思わず、彼に慈悲を!と宣言してしまいます。明らかに動かない自分の身体と思考にトレハンも自分が毒を盛られたことに気づきます。誰が? 会ったのはいとこたちとベティーナしかいない。自分の顔色が悪いとベティーナに勧められて飲んだゴブレットに毒が入っていたのか。まさかキャスと共謀してベティーナが? もしもキャスが勝てば、ベティーナが得られないだけでなく、王位も得られない。帰る場所もない。ベティーナを信じていたのに、二重に裏切られたと思ったトレハンは初めて正気を失って逆上し、キャスに対して滅多打ちに反撃します。キャスは目をつぶされ、身体を切り刻まれていく様子をみて、ベティーナは誰か止めて!と言いますが、モルガナは観戦を楽しみ、ラウムも慈悲を願った以上、周囲が出来ることは何もないと言います。大親友のキャスと恋人のトレハンの二人に無事でいてほしかっただけなのに、このままではキャスが死んでしまう。彼女はキャスの命を救うため、トレハンの心臓をとめることにします。魔力を放つとトレハンは攻撃を感じ、彼女が魔力を取り戻したこと、彼よりもキャスを選んだことを知ります。最後の力を振り絞り、このトーナメントの勝者は私だが、花嫁のことは見捨てると宣言して自身のキャンプへ戻り、毒が盛られたらしいゴブレットを確認し、これから行くところもないと絶望します。その場に現れたいとこたちに協力するかわりにダシアへ戻っていいことにしてほしいと頼んで、トレースします。

数週間後。
王冠をかぶり女王として装ったベティーナはキャスとお茶を飲んでいました。競技会の賞品としてベティーナを召喚できるメダルを受け取ったキャスはベティーナに返還し、この王国を離れて時間がゆっくりと流れる惑星へ行こうと思うと話します。観戦者たちから、キャスが毒を対戦者に盛ったと思われた彼は、道を歩けば唾を吐きかけられる存在となってしまい、彼自身ももっと強くなりたいと内戦状態が続く場所へ行くつもりのようです。ベティーナはそんな予感がしていて、彼を静かに送り出します。女王として即位したものの、ラウムはもう引退するといって手助けしてくれず、どうしていいかわからないのでモルガナに教わったショーを毎日開催させ、歩き回って国民の声を聴くようにして、評判を一歩ずつ回復しているところです。トレハンの行方はわかりません。

トレハンは体重も落ち、思考もまとまらず、暗澹たる気分で自室にこもっていましたが、コスミナがロテール叔父様が呼んでいると呼びに来ます。彼女が嬉しそうにロテールの命令で視野を広げるためにルイジアナに派遣されると話すので、危険すぎる、300年早いというと、彼女は引き下がります。

ロテールは、どうしてそんな様子なんだと言って事情を糺します。花嫁の血を吸わないからお前はおかしくなっているんだ、と看破した彼はデーモンなんかに花嫁を奪わせておくな。彼女はダシアの公女だぞ。連れ帰ってこいと命令します。彼女に拒絶されるのが怖くて会いに行けなかったのだと気付き、トレハンはベティーナのもとへ向かいます。

ベティーナは装飾具の注文主、パトロンの幻影の女王ザビーネと、サラムと大鎌と共にルイジアナのエロールの店の前で落ち合います。久しぶりの人界です。ライドストームは王国のダムが決壊したので民を手伝いに行っていて不在だと聞いて、一人で統治しているベティーナは内心羨ましく思います。バーにはラクビーボールを取り合っているライキーたち、ニンフたちなど雑多な客たちが楽しんでいました。サビーネは、ヴレクナーに攫われてしまったランテの行方を教えてもらうためにヴァルキュリーのニクスを探しにきていました。そして捜索の鍵を握っているのは、ヴレクナーの里スカイホールにたどりつける唯一の人物トレハンだと信じているようです。サビーネとライキーのマンローは、コンソーシアムに身内が攫われて拷問された経緯からか面識があるようで、彼女たちのテーブルにきて話していきます。マンローの兄弟ユイリームはまだ見つかっていないようで、彼も必死に捜索している様子でした。

店に霧が立ち込めると、サビーネは姿は見えないもののトレハンが現れたことに気づき「楽しんで! 1時間後に会いましょう」とトレハンに捕まったベティーナに声を掛けます。

ダシアのトレハンの自室にトレースされたベティーナ。目を奪われる素晴らしい武器がケースに入れられて陳列され、図書が立ち並び、暖炉の前には一つだけ椅子があります。窓の外のバルコニーからは彼が描写してくれた通りのダシアの風景が広がっています。

彼女にはアバッドンの女王としての責務があり、帰して欲しいと思いますが、彼を見ると数週間前の競技会の決勝のときのように、思考が混濁して、みじめなのを見てとります。彼に激怒する一方で、ようやく直接話し合いの場をもててほっとしています。トレハンも彼女が自分の受け継いだ財産と言える部屋でくつろいでいる様子をみて、狂気の王に教えられることがあるとはと思います。

二人は決勝の日のことを話し合いはじめると、サレムが突然出てきて二人とも間違っていると話します。トレースの際にベティーナに取りついて、ダシアまでついてきたようです。サレムのスパイ経由の証言で、毒を持ったのはヴァンパイアの従者だったことがわかります。自分の創造主のホルドのヴァンパイアの復讐だったと。

真実が明らかになって、トレハンはベティーナが彼を裏切っていなかったという視点で改めてあの日のことを思い返し、キャスよりも自分を選んでほしいと懇願します。君のことは嫌いになりたかったがそれでも愛している、もう手放せないと。誤解がとけるとベティーナはキャスは友達であなたのことは愛していると伝え、あなたになら、何をされてもかまわないと目をみて伝えます。本来なら結婚式の夜にあなたに血を捧げるつもりだったと。トレハンは結婚を申し込んで、体制が変わったからアバッドンとダシアには何時でも出入りできるようになったことを教えます。そうしたら私たちの家に連れ帰って。トレハンは喜んでアバッドンの寝室へトレースして、愛を確かめ合います。結ばれた翌朝に彼のために作った結婚指輪を渡してもらい、トレハンは感激します。お返しをしたいと思うが、君が作る以上のものは渡せないと言うと、あなたの牙の跡をつけてあるくわとベティーナが言います。ベティーナの血が彼の身体にしみわたり、トレハンはみるみる以前の彼を取り戻していきました。

ベティーナは、サビーネとその妹のことを話して、協力を頼むとトレハンはこころよく引き受けてくれます。「私と結婚すると、面倒くさいことが付いて回るけれど、本当にいいの? 私のつぎはぎの家族、のぞき屋のファントム、死のデーモンに囲まれた生活、しょっちゅう魔術師を助けて回る可能性があるけれど?」 「俺を止められるなら止めてみろよ。愛してる、結婚しよう」(終)

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